大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和32(オ)711 判決

主 文

原判決中附帯上告人敗訴部分を破棄する。

本件を広島高等裁判所に差し戻す。

理 由

附帯上告人代理人弁護士森永龍雄の上告理由について。

原判決は、被控訴人(附帯上告人、原告)がその主張のごとく本件土地建物に代

る土地建物が必要なため本件売買契約成立の直後被控訴人が訴外D商事株式会社か

らその所有の土地建物を手附金二〇万円で買受け、控訴人(附帯被上告人、被告)

において本件売買代金の支払を遅滞すると被控訴人としては手許不如意の折柄売買

代金債務が不履行に陥り手附金没収のおそれあることを控訴人の本件売買代金債務

履行遅滞当時控訴人も予見しており、被控訴人が判示のごとく該契約が解除され手

附金を没収された事実を認めることができるとしても、被控訴人と控訴人との間に

該手附金が没収されたときこれと相当額を控訴人において負担する特約その他特段

の事由ない限り控訴人の債務不履行と契約解除による手附金没収との間に相当因果

関係を認め難い旨の理由で右手附金に相当する特別事情による損害賠償の請求を排

斥したことは、所論のとおりである。

しかし、契約上の義務不履行に基く損害賠償については、契約締結当時又は不履

行に至るまでの間において当事者の予見し又は予見し得べかりし特別事情に基く損

害をも賠償すべきものであるから前示原判示前段の事実を認めうる以上、原判示後

段の特約その他特段の事由がなくとも、手附金相当額の特別事情による損害賠償の

請求をなしうべきものといわなければならない。されば、原判決には、所論民法四

一六条二項にいう特別事情の解釈を誤つた違法があるものというべく、所論は、そ

の理由があつて、原判決中附帯上告人敗訴部分は破棄を免れない。

よつて、民訴四〇七条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

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最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 高 木 常 七

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